DRIPを使うかどうか?

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米国株でよく使われている配当金再投資制度(Dividend Reinvestment Plan、DRIP)。一見よさそうに見えるので自動設定にしていました。この制度、使ったほうが良いのかどうなのか、確定申告を考えると結構微妙なのではないかと思い始めました。(2021年3月の記事です。近い将来に日本の制度が変わることを祈って・・・)

DRIPを使う口座

今、米国株を購入しているのは、Interactive Brokers、Firstradeで、いずれもDRIPを使うことができます。ただ、すべての銘柄に対してDRIPを有効にするか、無効にするかしか選べません。

Interactive BrokersとFirstradeは端株になってしまう場合にどうするかをさらに設定することができます。

楽天証券でもETFではなく投資信託ではDRIPを使うことができます。

DRIPは損かも?

DRIP制度を使う場合、楽天とFirstradeは取引手数料が無料なのですが、Interactive Brokers証券は手数料が有料です。配当金は、米国で課税された後に受け取ることになります。受け取った金額をそのまま再投資するのがDRIPですが、DRIPで配当金を使って購入する株に手数料がかかります。アメリカ在住でLITEコースなら取引手数料無料なのですが、毎回手数料がかかるのです。

  • fixed rate 0.005, capped at 1% of trade value. minimum 1.00
  • tiered rate begins at 0.0035, capped at 1% of trade value. minimum 0.35
Frequently Asked Questions - IBKR
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手数料は、普通に取引するときと同じで、最低0.35USDかかるので、国債やREITのような配当回数が多い銘柄は特に一回の配当金が小さいので、投資金額によっては配当金よりも手数料が高くなってしまう事態が起こります。

端株の取引をしなければ比較的良いと思います。

DRIPは税金が源泉徴収される(米国非居住者)

あちこちのブログ記事で取り上げられていますが、

  • 配当金にかかる税金がなくなる

というのは間違いです。米国株DRIPの場合は米国内源泉徴収はされてから配当されます。

14. What are the tax considerations associated with dividend reinvestment?

The purchase of a shares via DRIP is similar to that of any other share purchase for purposes of tax reporting. In the case of U.S. taxpayers:

– When the shares purchased via DRIP are sold they will be reported on the Form 1099B for US taxpayers in the year in which they are sold. The gain or loss will be calculated based on the FIFO method unless the account holder has selected a different method. The cost basis will be that price at which the shares were purchased and the acquisition date the date of reinvestment or purchase (not the day the dividend is paid).

– Shares purchased via dividend reinvestment are subject to wash sale calculations (i.e., if you sold a security for a loss within 30 days before or after the purchase, a wash sale will occur and that loss deferred).

– Dividend payments are subject to reporting on the Form 1099DIV as current year income even when reinvested.

In the case of non-U.S. taxpayers:

– The cash dividend is subject to U.S. tax withholding prior to reinvestment. Withholding is performed at the statutory rate or at the treaty rate, where available. All income and withholding will be reported on the Form 1042-S for the year in which the dividend payment was received.

Overview of IBKR's Dividend Reinvestment Program (DRIP)

米国納税者にはメリットが大きそうですが、米国非居住者は米国の源泉徴収税を引かれた後で再投資されるようになっているようです。ほかの証券会社はわかりません。

日本の税金はどうなるの?

日本の分離申告課税が後に繰り延べできるという意見も出ていました。

DRIP(配当金自動再投資サービス)はなぜ素晴らしいのか - 40代でアーリーリタイアしたおっさんが   たわら先進国株でベンツを買うブログ

正しいかどうか、よくわかりません。サクソバンクでは米国株のDRIPに対応しているようですが、日本国内の課税については不透明のようです。

https://secrets2mysuccess.net/drip_cannot_be_serviced_as_you_expect/

さらに調べていたところ、サクソバンクで日本国内の源泉徴収がされていなかったのは誤りであったという書面がサクソバンクから届いている方がおられるようです。

https://www.settakick.com/%E3%82%B5%E3%82%AF%E3%82%BD%E3%83%90%E3%83%B3%E3%82%AF%E8%A8%BC%E5%88%B8%E3%81%AE%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88/#toc9

2020年12月17日に書面が来た!残高たりなかったら強制決済ね!というひどい内容だったようです。

結論:日本の納税者にとってほぼ無意味

米国源泉徴収がされた上に日本の課税対象にも即座になるようです。証券会社によっては、DRIPは有利な価格での約定があったり、手数料優遇がある場合もあるようです。

少なくとも私が利用しているInteractive BrokersもFirstradeもDRIPにかかわるレートは通常の取引と同じなので、むしろ割高です。手数料等がかなり優遇されている場合や、米国のようにDRIPに有利な税制があればよいですが、日本では今のところ難しいですね。

上場投資信託ではない投資信託等は別なので、そちらならDRIP的に使えます。

結論として、確定申告の時以外投資口座を触らずに放置するつもりの人にはいいかもしれませんが、それ以外の日本居住者には、現状のままのDRIP制度は無意味です。現在、サクソバンク証券が対応しているようですが、日本の大手証券会社が対応しだしたり、日本株でDRIPができるようになるような事態が起こったら制度が変わるかもしれませんが、日本でそうなるとは想像できないです。

 

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